極寒のダイビング:北の海の冷徹なる透明度
ぬるま湯は風呂のためにある。真のダイビングは、水が人を殺そうとする場所でこそ行われる。アイスランドとノルウェーで求められる、クリスタルのような視界、好奇心旺盛なアザラシ、そして重装備について。

最初に感じるのは冷たさではない。衝撃(ショック)だ。
入水した瞬間、一瞬だけ顔面が焼けるような感覚に襲われる。摂氏2度の水に対する、露出した肌の反応だ。それはまるで平手打ちを食らったかのような衝撃だ。その後、麻痺が始まる。唇はゴムの塊と化し、レギュレーターは制御不能になった顎に挟まった、ただの異質な金属片のように感じられる。
これでいい。これで目が覚める。
なぜノルウェーやアイスランドで潜るのかとよく聞かれる。モルディブやグレートバリアリーフはどうしたのか、と。私はこう答える。「プールは好きじゃない」と。熱帯のダイビングは軟弱だ。楽すぎる。ラッシュガードを着て飛び込むだけ。生存本能を欠いた色鮮やかな魚を眺め、暖かいまま上がってくる。
北の海では、海が敬意を強いる。ここでミスをすれば、空気が尽きる前に熱力学によって命を奪われることになる。だが、その報酬は熱帯では決して得られないものだ。脳を揺さぶるほどの透明度、そして恐竜の時代を生き抜いてきたかのような生物たちだ。
透明度の物理学
冷たい水は重く、濃密だ。アイスランドのシルフラやノルウェー北部のフィヨルドでは、赤道付近のぬるいスープのような水とは違い、浮遊物が停滞することはない。暗い冬の間、藻類は繁殖に苦しみ、シルト(沈泥)は沈殿する。

初めてシルフラで潜った時のことを覚えている。そこは北米プレートとユーラシアプレートの裂け目だ。水は氷河の融解水。地下の多孔質な溶岩岩の中を30年から100年かけて濾過され、湖へと染み出してきたものだ。
透視度は単に「良い」というレベルではない。無限だ。100メートル先まで見渡せる。潜降していくとき、水中を潜っている感覚はない。空から落ちていくような感覚だ。そこが液体であることを思い出させるのは、装備にかかる抵抗と、上昇していく気泡だけだ。
それは眩暈(めまい)を誘発する。裂け目の深淵を見下ろすと、脳が「底に叩きつけられる」と悲鳴を上げる。だが、体は浮いている。
この透明度には代償がある。水温は年間を通じて2℃から4℃。そこは無菌に近い環境だ。裂け目自体に魚はいない。ただ岩と、緑色の「トロールの髪」のような藻があるだけだ。死に満ちた、美しい空虚。それは自分自身と向き合うことを強いる。聞こえるのは自分の呼吸音だけだ。運が良ければ、プレートが動く際の軋むような音が聞こえることもある。
鋼鉄の森、アザラシ、そして殺し屋
アイスランドの淡水を離れ、ノルウェー沿岸の海水域へ向かえば、状況は荒々しく、生命感に満ちたものに変わる。
冬のノルウェー海の視界は依然として素晴らしく、30から40メートルに及ぶことも多い。だが、ここには怪物が潜んでいる。
ケルプ(コンブ)の森だ。Laminaria hyperborea。カリフォルニアで見られるような柔らかく流れる海藻ではない。これらは高さ2メートルにも達する、分厚く硬い茎を持つ。潮流の中で、それらは酔っ払ったメタルファンの群れのように揺れ動く。

ケルプの森を抜けるには、完璧な中性浮力が要求される。着底してしまえば、単に砂を巻き上げるだけでは済まない。絡まるのだ。パニックに陥れば、その屈強な茎は口からレギュレーターを引き剥がすほどの力を持っている。
この森の中の生存競争は過酷だ。そこにはオオカミウオ(Anarhichas lupus)がいる。醜い顔つきだ。灰色で皺の寄った皮膚、カニやウニを粉砕するための歯。彼らは人間が近づいても逃げない。向き直り、こちらを凝視する。彼らは自分たちの歯がドライスーツのブーツを噛みちぎれることを知っている。私はその姿勢を尊重している。
次に、厄介者たちがいる。ゼニガタアザラシだ。
パイプラインの検査や係留装置の確認をしていると、彼らは頻繁に現れる。人々は彼らを「海の仔犬」と呼ぶが、私は「ハザード(危険要素)」と呼ぶ。彼らは速く、賢く、パーソナルスペースという概念を一切持たない。アザラシはフィンの先端を噛み、排気バルブを引っ張る。水温3℃の中でドライスーツのシールを破られるのは、冗談では済まない。低体温症(ハイポサーミア)という死刑宣告だ。私は彼らから目を離さない。装備を破壊されるまでは可愛い存在だが、それまでだ。
そして、シャチ(オルカ)だ。
シェルボイやロフォーテン諸島では、冬のニシンの回遊がシャチを呼び寄せる。観光客は彼らとシュノーケリングをするために大金を払う。スクーバダイビングで遭遇するのは稀だ(気泡がニシンを散らしてしまうため)が、静かな日には起こりうる。
3年前、トロムソ近海で潜っていた時のことだ。水深15メートル。辺りが暗くなった。影が太陽を遮ったのだ。一頭のオスのシャチが、わずかに倒れた背びれを揺らしながら横切った。巨大だった。彼は不気味なほど知性的な瞳で私を見た。恐れはない。彼は私がアザラシかどうかを評価していたのだ。私のドライスーツのフードにある白いパッチは、その判断に悪影響を与えたかもしれない。私は凍りついた。彼は去っていった。
これこそが昂揚(ラッシュ)だ。ここでは、人間は食物連鎖の頂点ではない。鈍重で不器用な、ただの客人に過ぎない。
熱力学とハードウェア
レンタル器材でこの海を潜ることはできない。標準的なリゾート仕様のレギュレーターは、命取りになる。
物理学の話をしよう。タンクの高圧ガスがレギュレーターのファーストステージ(first stage)へ移動する際、ガスは膨張する。膨張は冷却を引き起こす。これがジュール=トムソン効果(Joule-Thomson effect)だ。水温がすでに氷点に近い場合、この内部冷却によって空気中の水分や周囲の水が凍結する。
ピストンやダイアフラムの内部で氷が形成され、バルブが開いたまま固まる。フリーフローの発生だ。
水温4℃、水深30メートルでのフリーフローは緊急事態だ。タンクは2分足らずで空になる。気泡の音は耳を貸さぬほどに激しく、押し寄せる空気の圧力でまともに呼吸すらできない。
冷水用リグ(装備)
私は、信頼に値する設計の器材しか使用しない。
| コンポーネント | 熱帯「プール」用装備 | 極寒地用テック・リグ | 理由 |
|---|---|---|---|
| ファーストステージ | ピストン式(非密閉) | ダイアフラム式(環境密閉) | 非密閉のピストンは浸水する。その水が凍れば故障する。密閉されたダイアフラムは内部機構への浸水を防ぐ。 |
| 保護スーツ | 3mm ウェットスーツ | トリラミネート・ドライスーツ + 400g シンサレート | ネオプレンは深度下で圧縮され、断熱性を失う。トリラミネートは圧縮されない。空気層が体温を維持する。 |
| グローブ | なし / 2mm ウェット | ドライグローブ・システム | 濡れた手は10分で役立たずの肉塊になる。ドライグローブは、ボルトスナップ等の操作に必要な器用さを確保する。 |
| タンク | シングル AL80 | スチール製 12L ダブルタンク / Hバルブ | 冗長性(リダンダンシー)。一つのレギュレーターが凍結しても、バルブを閉鎖し、バックアップに切り替える。 |
私は Apeks の MTX-R レギュレーターを使用している。氷点下の水域を想定した軍用規格に基づいて設計されている。呼吸抵抗は多少あるが、凍ることはない。
スーツは Santi の E.Motion Plus だ。耐久性が高い。その下には電熱ベストを着用している。「ズルい」と言う奴もいるが、私はこれを「ボトムタイムの延長」と呼んでいる。深部体温が下がると、体は臓器を守るために末端の血液を回収する。まず手の感覚が失われ、次に思考が鈍る。
寒さにさらされると、人間は愚かになる。残圧の確認を忘れ、減圧停止を忘れる。電熱ベストは、思考の明晰さを維持するための投資だ。
凍える手の痛み
手の話をしよう。ここが弱点だ。
ドライグローブをしていても、冷気は忍び寄る。潜行するにつれグローブ内の空気が圧縮されるため、スーツ内の空気を手首のシールから送り込んで平衡(イコライズ)させなければならない。これを忘れると、手に「スーツスクイーズ」が起こる。ラテックスが締め付け、血流が止まる。

以前、ドライグローブのシールが故障したことがあった。水温3℃の水が左手に流れ込んだ。5分もしないうちに、私の手はただの役立たずの肉の塊になった。インフレーターホースの操作ができなくなり、ダイビングを中止せざるを得なかった。
水が浸入したグローブをはめて浮上するのは、地獄の苦しみだ。凍った指に血が戻る際、まるでハンマーで手を叩き続けられているような感覚に襲われる。この業界ではこれを「スクリーミング・バーフィーズ(screaming barfies:絶叫するほどの嘔吐感)」と呼ぶ。痛みがあまりに激しく、吐き気を催すのだ。
だが、体を拭き、ブラックコーヒーを飲み、シールを点検して、また海へ戻る。
なぜ潜るのか
なぜ重い装備やウェイト、痛み、そして暗闇に耐えてまで潜るのか?
静寂があるからだ。
熱帯の海は常に騒がしい。テッポウエビの音、船のエンジン音、他のダイバーがタンクを叩く音。
ノルウェーの冬、深い場所は静まり返っている。水面の雪が音を遮断し、水の密度がすべての雑音を吸収する。そこにはダイビングの物理現象と、自分しかいない。
氷点下の水域で45分のダイブを終えて浮上する瞬間の、あの独特な感覚。水面を割ると、雪が降っているかもしれない。空気は冷たく、鋭い。重い体をボートに引き上げ、ドライスーツのジッパーを開ける。アンダーウェアから湯気が立ち上る。
自分が無敵になったように感じる。自分を氷漬けにしようとする環境から生還したのだ。薄暗闇の中に佇むケルプの森を見た。プレートの裂け目の圧倒的な透明度を見た。
それは剥き出しで、無機質だ。これこそが真のダイビングだ。
ぬるま湯は君たちに譲ろう。私は氷を選ぶ。