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Magnus Sorensen

水中写真:キャリアか、それとも経済的自殺か?

溶接機をカメラのシャッターに持ち替えたいのか。機材の減価償却から飽和した市場まで、水中写真という職業の残酷な現実を叩き込んでやる。

水中写真:キャリアか、それとも経済的自殺か?

北海(North Sea)はお前のISO設定なんて気にしねえ。水深150メートル、暗闇が眼球を押しつぶす物理的な重りのように感じる場所じゃ、意味を持つのはシールの密閉性とタンクのヘリオックス(Heliox)混合ガスだけだ。俺はパイプラインの溶接で食ってる。凍える黒い水の中で、産業界の動脈を修理する。寒い。危ない。だが、金にはなる。

写真を撮りたい、なんて相談をよく受ける。連中は海をキャンバスだと思ってるが、俺に言わせれば、空気の入ったもんを片っ端から潰そうとする敵対的な環境だ。水中写真家になりたい? 深海の「美しさ」を撮って生計を立てたいだと?

いいだろう。お前の銀行口座の熱力学について話してやる。汗臭さとオゾン臭の漂う再圧チャンバー(Decompression chamber)から見る限り、それはキャリアとは呼べねえ。ただの高くつく餓死への道だ。

Diver with massive camera rig

ナショナルジオグラフィックの給料という幻想

熱帯のダイブセンターが売り込んでるファンタジーがある。温かい、使い物にならねえ水の中でサンゴ礁を漂う。サメの写真を撮る。雑誌社が1万ドル振り込んでくる。傘の刺さったカクテルを飲む。

目を覚ませ。

海は工業地帯だ。写真市場はスクラップ置き場だ。20年前なら、ホホジロザメの一枚で住宅ローンが払えたかもしれねえ。だが今は、GoProと自撮り棒を持った観光客が市場を埋め尽くしてる。供給は無限。需要は死んだ。

ストックフォトはただの重り

数字を見ろ。フィヨルドの底より冷え切ってる。マイクロストック(Microstock)サイトは、写真を数セントで叩き売る。潜水病(Bent)や低体温症、機材トラブルのリスクを冒して撮った写真が、たった0.3ドルだ。数が必要になる。コーヒー一杯買うために、「魚を見つめるダイバー」のありふれた写真が数千枚も要るんだ。

スタヴァンゲルに知り合いがいた。腕の良いダイバーだ。ハウジングとライトに1万5000ドル注ぎ込み、3年で5000枚アップした。稼いだ金で買えたのは、中古のドライスーツのジッパーだけだ。ハァ、ナク(Hay naku)、そんなの仕事じゃねえ。船底に空いた小さな穴と同じだ。

雑誌とエディトリアル

紙媒体は死にかけてる。生き残ってる数少ない出版物も、支払いは「知名度(Exposure)」だ。知名度じゃシリコングリスは買えねえ。シリンダーの耐圧検査(Hydrostatic testing)代にもなりゃしねえ。BBCに雇われてペンギンがくしゃみするのを3週間待ち続けるような、上位0.01%の撮り手じゃない限り、雑誌の誌面で家賃は払えない。

本物の収益源(我慢できるならの話だが)

もしお前が頑固で、どうしても塩水の中に精密機械を持ち込んで金にしたいなら、方向転換が必要だ。芸術家になっちゃいけねえ。虚栄心の技術者か、機材のセールスマンになるんだ。

「マーメイド」産業

成長してるのはここだけだ。スース(Sus)、虫酸が走るぜ。プライベート撮影。インフルエンサー。30秒も息を止められないくせに、水中が居場所みたいな顔をしたい連中だ。

お前が追うのは神出鬼没の海洋生物じゃない。プールや浅いリーフでヒラヒラした布を管理するんだ。子守りだよ。ストックフォトよりはマシな金になる。金持ちの客なら、ポートフォリオ作成に数千ドル落とすこともあるだろう。だがな、そんなのはダイバーじゃねえ。パニック、浮力コントロール不良、マスカラの流れ落ちと戦う水中ポートレート写真家だ。品位はねえが、食いつなぐための機械に餌をやるには十分だ。

機材レビューとブランドアンバサダー

これぞハッスルだ。タダで機材をもらう。そのレビューを書く。みんなにその機材が必要だと言いふらす。メーカーに魂を売るんだ。アルミとガラスの広告塔だ。

フォロワーがいりゃ成立する。だがな、お前はもう自分のビジョンを売ってるんじゃない。ポリカーボネートのハウジングやストロボを売ってるんだ。最悪の意味での商業ダイバーだ。スキルじゃなく、製品を売ってるだけだ。

Flooded camera housing

機材の減価償却という残酷な物理学

商業的な飽和潜水(Saturation diving)じゃ、俺たちの機材は重い。真鍮。ステンレス。カービー・モーガン(Kirby Morgan)のヘルメット。これらは長持ちする。手荒に扱っても耐える。だがお前のカメラ機材は脆い。買った瞬間に時代遅れだ。

海は電子機器を破壊する。水没させなくても、潮風が回路を食い荒らす。湿気がセンサーを腐らせる。電飾腐食(Galvanic corrosion)がボルトを固着させる。そして減価償却は自由落下より速い。

お前の道具箱にかかる計算を教えてやる。

ハウジングの罠

カメラ本体が4000ドル。レンズが2000ドル。 次にハウジングだ。ミクロン単位で削り出されたアルミの塊。これが3000ドル。 ポート、広角用のドーム、マクロ用のフラット。エクステンション、ギア。2000ドル。 ストロボ、アーム、クランプ、シンクロコード、バッテリー、真空システム。3000ドル。

最低でも1万4000ドルをドブに、いや海に捨てる覚悟が必要だ。

2年後、メーカーが新しいカメラを出す。ボタンが2ミリ動く。ダイヤルが少しデカくなる。お前の3000ドルのハウジングは、ただの文鎮だ。他の何にも合わねえ。溶接して直すこともできねえ。ただのゴミだ。

そしてまた、全部買い直しだ。

全損のリスク

俺の仕事じゃ、シールが一つダメになれば死ぬ。お前のシールがダメになれば、銀行口座が死ぬ。Oリングに付いた一本の髪の毛。一粒の砂。深場の水圧は必ず弱点を見つけ出す。

北極圏での撮影を思い出すぜ。ある写真家がシャチを撮ろうとしてた。準備を急ぎ、真空チェックを怠った。彼は飛び込んだ。水深5メートルで浸水アラームが鳴り響いた。浮上したときには、塩水が基板もレンズの接点もバッテリーも焼き切ってた。3秒で8000ドルが消えた。保険でカバーできるかもしれねえが、水中撮影機材の保険料は天文学的だ。連中もわかってるんだ。最後には必ず水が勝つってことをな。

安全面での妥協

誰も話さない安全上の問題がある。カメラはダイバーを殺す。

ファインダーを覗いている間、お前は残圧計(SPG: Submersible Pressure Gauge)を見てねえ。バディも見てねえ。タスク過負荷(Task loading)だ。

写真家がカメを追って水深40メートルまで降りていくのを何度も見た。無減圧限界(No-decompression limit)もガス残量も無視してな。連中は「シャッター熱」に浮かされる。呼吸数は上がり、20分でタンクを空にする。そうやって減圧症になり、塞栓症(Embolism)を起こすんだ。

商業潜水には厳格なプロトコルがある。集中すべきは仕事と生命維持だ。写真じゃ、仕事そのものが「注意を削ぐもの」になる。鉄の規律がなきゃ、根本的に危険な行為だ。

副業 vs 専業の計算

俺は現実主義者だ。リスクとリターンを天秤にかける。

パイプを溶接すれば、時給で金が出る。危険手当。深度手当。飽和潜水ボーナス。錆が出る前に金は銀行に入る。

写真を撮るなら、先に仕事をこなさなきゃならねえ。先に機材を買う。先にリスクを負う。金が入るのは半年後かもしれないし、一生入らないかもしれない。

比較:商業ダイバー vs 水中写真家

項目商業飽和ダイバー水中写真家
主な環境冷たい、暗い、高圧、工業的温かい、澄んでいる、浅い、レジャー
初期投資資格(2万ドル~)、基本個人装備カメラ機材(1.5万ドル~)、継続的なアップグレード
収入の安定性高い(契約ベース)極めて低い(投機的)
命のリスク高い(チームと手順で緩和)中程度(注意散漫により上昇)
機材のリスク通常は会社所有すべて個人所有
減価償却経験でスキル価値が上がる機材価値が即座に下がる

Heavy industrial diving helmet vs camera

深海からのアドバイス

俺のアドバイスが聞きたいか? カメラは濡らすな。さもなきゃ安いので済ませろ。だがどうしても進みたいなら、これを聞け。

1. 本業を捨てるな 魚を追いかけるために安定した収入を捨てるな。写真を売らなきゃならねえっていうストレスは、ダイビングを台無しにする。酸素分圧の代わりにピント合わせを心配して心拍数が上がり、ガスを無駄に消費するだけだ。週末ダイバーでいろ。自分のために撮れ。もし売れたら、それでビールでも買え。

2. マクロに集中しろ ワイド(広角)は透明な水が必要だ。熱帯地方への旅費がかかる。高くつく。 マクロ、つまり小さな生き物ならどこでも撮れる。ノルウェーの港の冷たい泥の中でも、ウミウシはいる。機材は小さく済む。ライトも安上がりだ。被写体もすぐには逃げねえ。航空券に大金を払わずに、濁った水の中でスキルを磨け。

3. 専門技術者になれ どうしても専業にしたいなら、ただの「写真家」になるな。検査のスペシャリストになれ。ROV(Remotely Operated Vehicle:遠隔操作水中ロボット)の操縦を覚えろ。船体検査や沈没船の調査のために3Dフォトグラメトリ(Photogrammetry)を学べ。カメラを芸術じゃなく、データの道具として使え。石油会社はデータに金を払う。調査会社は地図に金を払う。雑誌社は夢に金を払う。データの方が、実入りがいい。

Cold water diver adjusting strobe

冷酷な現実

海はスタジオじゃねえ。お前を殺そうとする荒野だ。腐食を生み、圧力を生み、物を隠す。

腕の良い水中写真家の技術は認める。流れの中で中性浮力、ライティング、カメラ設定を管理するのは並大抵の規律じゃできねえ。だが、趣味を産業と履き違えるな。

海のそばで生きていきたいなら、手に職をつけろ。溶接を覚えろ。ディーゼルエンジンの直し方を覚えろ。ガスの混合を学べ。それで、休みの日にカメラを持って潜るんだ。ウミガメがレンズを見てくれるかどうかに生活がかかってない方が、ずっと楽しめるはずだ。

安全にな。Oリングをチェックしろ。ガスを忘れるな。いいか、温かい水なんてのはただの風呂だ。